ミニバスタオルの正体

落語「てれすこ」を、ご存知でしょうか?

浜に上がった奇妙な魚の名前を「てれすこ」と教えた男が、
その後、その魚を干物にしたものを見せられ「すてれんきょう」と答えたことから
事件になります。

捕らえられた男が妻に、金輪際「イカを干したものをスルメというな」と
子供への遺言を言い残したことで、男は助かると言うお話です。

さげは、夫が助かることを願って妻が「火物断ち(火で調理した物を食べない)」
していたのと、スルメの干物をかけた落ちです。


タオルメーカー内野㈱に、ミニバスタオルという製品があります。
名前の通り100cm×50cmと言うミニサイズのバスタオルです。

しかし、片面がパイルでもう片面がガーゼのリバーシブル構造で、
厚さもいわゆる一般のバスタオルより少し薄めになっています。

そうすると
1 入浴後に髪を拭くとき、毛髪や地肌の感触が指先に伝わり、
  コンディションがわかるのでケア判断が圧倒的にしやすい。
2 髪に巻く、首や肩に掛けるなど、女性にとって取り回しが大変楽に出来る。
3 お化粧の時、パイルで汗をとめ、ガーゼでファンデーションがおさえられる。
4 寝るとき細長くたたんで首に巻いて喉を守るなど、新用途も生まれ多目的に使える。
5 小さいので洗濯がカンタン、当然、乾きもかなり早い。
6 旅行など、出かけるときに持っていくのに小さくたためて至極便利。

これら数々の新メリットは、ミニサイズにしたことにより生まれたものですが、
ここまで来ると、もはやこのタオルの正体は小さいバスタオルではなく、
スキンケアタオル、美容タオルとでも呼ぶほうが、
消費者には理解しやすいものです。

サイズを変えて新しい商品価値を生み出すのは、賢い商品開発の方法です。
それによって生み出された新商品には、生まれた素性より、
製品の持つメリットを名前にした方が、消費者には圧倒的に親切です。
つまり商品開発の仕事には、消費者のために適切なネーミングを考えるのも
含まれると言うことでしょうか。


成長過程で美味しさの変わる魚は出世魚といわれ、大きさにより名前が変わります。
微妙な味を食べ分ける、日本の食文化の高さがうかがえる一面です。

日本では、ラクダを区別する名前はコブの数だけですが、
中近東では種類、性別、年齢、もろもろを組み合わせて200以上の
呼び名があるそうです。


そういえば最近、外国人観光客に人気で大ヒット中の「ニンジャシューズ」は、
何のことかご存知ですか?
これは文化が混乱(?)したケースですかね。