トロミが作る新感覚

新感覚の商品が求められている今、文字通り新しい感覚による
開発はいかがでしょう。

食品の味を判断するとき大切なのは味覚ですが、
それ以外にも、見た目(視覚)香り(嗅覚)美味しそうな音(聴覚)
そしてヤワラカさ(触覚)など、5感はフルに活用されます。

特に触覚は、口の中で食べ物を租借する際
舌が上あごに食べ物を押し付ける事により、味覚の判断に大きな影響を与えています。
無意識に行われているので、あまり実感がないのも事実です。

舌、上あご、ノドなどの触覚を上手に刺激して美味しさを作る技は
元々日本料理には数多くあります。

餡かけは出汁にトロミをつけることで、素材と出汁のウマミを繋いでいますし、
ハチミツや黒蜜のトローリ感は独特の美味しさをイメージさせます。

最近ブームのメープルシロップは、ハチミツのトロミとトロミのタイプが異なる事で
甘さもサッパリしていると思われ人気が出ています。

洋食にも、シチューやスープのように「トローリ」という形容詞が
美味しさを表現するのにピッタリのメニューがたくさんあります。

トロミは誤嚥を起こしにくくする事から、
シチューが夕食のメニューに多いヨーロッパでは
家族の夕食に寝たきりの老人も車椅子で参加する、独特の介護スタイルも生んでいます。


気付かないくらいのトロミに、ヒットのヒントがかくれています。

塩分濃度や糖度を上げて、味のインパクトを付けるのには限界がありますが
トロミによってほんの少し長い時間、舌が味と触感を感じると、
さわやか感、サッパリ感、さらにホッと癒される感じも提供できるようです。

甘くなくて美味しいと言う、ある意味贅沢な評価を生み出すのにも
トロミは有効だということです。

トロトロ桃のフルーニュ(キリンビバレッジ)のヒットも
そこにあるのではないでしょうか。


それにしても最近気になるのは、美味しいと言う味覚評価の形容詞に
「やわらかい」が多用されることです。
テレビのグルメ番組では、料理を食べたタレントが判で押したように、
「ウマ~イ!!」「アマ~イ!!」そして「ヤワラカ~~~イ!!」の
どれかを叫ぶあのパターンです。


美味しいと言う評価の条件として、やわらかさは有りますが、
やわらかいだけで美味しいと言う事はないのにと思ってしまうのは、
還暦のせいでしょうか?