「健康」という商品

商品企画のキーワードとして「健康」は、今、オールマイティーです。
食品はモチロン、住宅、衣料品、寝具、ゲームまで、何でもOK。
そこへ、ストレスに対応するとなると、各種のサービス、スポーツ、旅行と、
さらに多様化します。

ところで健康とは、どんな商品でしょうか?
100グラムいくらで売っている訳ではありませんし、
1個買えば一生使えると言うものでもないようです。

それでは、健康とはどんな状態を言うのでしょうか?
これについても、おそらく明確な答えはありません。

自分が健康かどうかは、大半の人が自分以外の人との、相対的な比較で
判断しています。
同じ年の友人より元気とか、会社の友人と比べると体調が良いとか、
子供の同級生のお母さんより若々しいとかです。

判断の基準になるモノサシはその都度変わり、主観的な判断が先行します。
つまり、客観的な判断と結論ではないので、ある種のエンターテインメントのようです。

私は、健康の客観性を経済的に証明してみようと、6年前から毎夕食
納豆を1パック食べています。あと4年、計10年食べて、循環器系の状態をチェックし、
納豆を常食していない人と比べて、循環器系の疾病リスクが低ければ、
発症した際の治療費がセーブできた分だけ、経済的メリットがあったことになります。
またそのコスト分、10年分の納豆代金で健康を買った事になります。

病気を治したい、元気になりたいと言うのは、人間の本能です。
医療費にコストを費やすのは、その本能に忠実な行動です。

しかし、元気でいたい、健康を維持したいと言うのは、将来の状況を想像して、
その可能性と希望を、ある種楽しむものです。

健康をキーワードに商品企画する際、このことが大切です。
将来健康でいられることと同時に、それによってどんな楽しいことが経験できるのか、
それを的確にイメージできる提案と説明が必要です。

素材やエビデンスの説明も重要なポイントですが、あわせて楽しい暮らしを
想像できる説明と企画が、必ず無ければ、研究開発も生きてこないのです。