六感を刺激すると!?

「視覚」「聴覚」「触覚」「嗅覚」「味覚」 私達は五つの感覚器官を持っています。
これらを「脳」が総合的に使って、生きると言うことを司っています。

さらに、この五つの感覚器官は驚くほどリンクして、情報を相互に提供して補完し、
「心」「感情」とも絡まって複雑な判断を可能にしています。

「商品販売はコミュニケーション」で登場する六感は、この状況のことです。
視覚は聴覚情報を提供しますし、触覚は視覚情報を提供します。

人間が活動するのに、本来の五感情報が60%、六感情報を40%くらいで
活用しているのではないでしょうか。

例えば、スローモーションでガラスのコップがテーブルから落ち、
床の上で砕け散るシーンを想像してください。

テーブルのはじにあったコップに、誰かの手が引っかかりました。
弾みでコップは倒れ、中の水が飛び散ります。誰かの「ア!!」と言う声が
聞こえたと思うと、さらに水しぶきを上げながらテーブルの下へ落下。
床に当たったとたん、水に代わって今度はガラスの破片が飛び散ります。

この状況を読んだだけで、「ガタン」「ア!!」「ガッシャーン」「チャリン」「スミマセン!」と言う
音が聞こえたでしょ?

実際に、聴覚が働かなくても視覚だけで音は聞こえます。まして、文字情報で
想像するだけでも音は聞こえるのです。

目の前にショートケーキが出てきました。
視覚情報ではサッパリした甘さ控えめのケーキのようです。
ケーキ皿を持って手前に引きます。大きさのわりに軽いので、
やっぱり軽くて美味しいと指先からの触覚情報が教えています。
フォークを入れるとスッと入って、フォークがお皿に当たる時の
「チッ」いう小さな音で柔らかいスポンジのサッパリ感が聴覚情報で分かります。
フォークに刺さったケーキが口に入る前、イチゴとクリームのかすかなにおいも
爽やかなケーキだと嗅覚情報が教えています。
口に含むと、抑え目の甘さと爽やかなクリームの味で、
「美味しい!」の評価が味覚情報として出ます。

お気づきですか、食品にとって大切な味は、味覚を舌で感じる前に
他の感覚器官によって、ほぼ100%の判断が出ているのです。
味覚器官は味を判断したというより、再確認したと言うべきかもしれません。

ジグソーパズルのように、四つの角、周りの辺、そして中心へ向かて組み立て、
最後の1枚がぴたっと入れば「美味しい」と判断されるのです。

女性が化粧品を購入する際、ビンを振ります。新しい飲料を購入する際も振ります。
男性がパソコンを購入する際、キーボードをカチャカチャと押します。
新車を買う際、ドアを音を立てて閉めたり、人によってはボンネットを叩きます。

商品購入に必要な予備情報から購買動機刺激情報まで、五感の総力戦で提供しましょう。
色、形に始まり、充填量の調整、重心位置の設定など、コミュニケーションのために
やることはいっぱいあります。

ちなみにこのところ触覚情報に注目が当たったことで、とろみのある食品が
ヒットの傾向にあります。微量の粘度をつけるとコクがあるという判断になるようです。


問題解決の方法は、まだまだあるということです。