日本には資源が少ないので、海外から原料を輸入して加工し輸出しています。
これを小学校で習った時は、なるほどそうなんだと納得でした。
それから半世紀、日本が大きな経済発展を遂げたのは、労働力を売る輸出から、
高い技術力を売る輸出に変わって来たからだと思います。
NY時代に友人から、漆の片口を買いたいと相談を受け、
東京の友人に頼んで送ってもらい届けると、大変喜んでくれました。
後日、彼のオフィスを訪ねると、片口はデスクの上で立派(?)に活躍していました。
漆の片口は、葉巻専用の灰皿になっていたのです。
注ぎ口の幅はハバナにピッタリで、漆は熱に強いので灰が落ちても大丈夫。
内側の朱色と外側の黒の色合いが、グッドデザインそのもので、
デスク上の存在感は強烈でした。
ちなみに友人は、片口が酒器であることは全く知りませんでした。
本来その目的で作られた物でなくても、必要とされる機能が備わっていれば
市場性は充分にあると言うことを、もう一度考えて見ましょう。
日本の匠と言われる技術には、充分以上に海外で役に立つものが数多くあります。
再度、この匠の技術を使って日本型加工貿易に挑戦してはどうでしょう。
1 伝統工芸
西陣や加賀に代表される友禅と刺繍の技術で、タペストリーや
ベッドカバーなどの超高級品を中近東へ輸出。
元来絹製品が好きな市場で、デザインのモチーフも中近東が起源の
意匠も多く分かってもらいやすい。
木工品、漆器、陶器なども現代デザインを使用。ヨーロッパや
中国へ輸出。
和紙及び和紙製品、特に欧米人の名前を漢字表記して記念品に。
提灯や箸に、漢字で名前を入れるオプションも効果的。
2 米および野菜
カリフォリニア米の評価が高かった頃から、今も引き続き
美味しいお米には世界中で高い人気があります。
椎茸、生姜、大蒜などの嗜好品から、リンゴ、桃、梨、スイカ等
糖度の高さが圧倒的な国産果物も、世界中に市場があります。
食料自給率が200%になっても、余剰分は全て輸出可能。
超高価格の米は輸出、安い米は輸入と割り切ります。
3 漢方薬原料
環境汚染の影響で、漢方薬原料薬草の不足が深刻化しています。
山間部などに、栽培に適した土壌も多く、日本人的には手間も掛かりにくいうえ、
日本ならではの栽培技術が、有力な付加価値になります。
安全性の高い国産健康食品も圧倒的な市場が海外にあります。
江戸時代、海外では金と銀の換金率は1対15、国内は1対5だったため、
オランダ、ポルトガルの商人にとって日本は大きな宝の山でした。
日本人はその事を知りませんでした。
日本の匠の技術、特に食に関する物は、江戸時代の金です。
世界水準と比較して圧倒的に高品質の国産の食品は、
市場性を再度リサーチする事で、新しい輸出産業として、地域活性にも
大きな役割を果たせます。
日本は健康の金の山ですよ!!